広報くまとり 令和5年4月号第863号 2,3,4,5ページ ☆特集 ●造園の町 熊取町  江戸時代に書かれた「五畿内産物図会」によると、熊取町では上質の「赤土」とそこに群生する「黒松」が山をおおっており、明治末期頃よりこの黒松を観賞用として育て、剪定したことから植木職(造園業)が盛んになったと言われています。  その後、造園業は住宅開発と共に特に盛んになり、多い時で造園業者は150社を超え、自然に近い木の芽を活かした「熊取流ちらし」という松の剪定方法が行われていたようです。  町内で造園業を営む 阪上 良雄 さんにお話しを伺い、造園業が盛んな町であることを象徴する『熊取駅』にスポットをあて、熊取町の造園業についてご紹介します。 ○花いっぱい、緑いっぱい、  自然の魅力で人を呼べる熊取町に!  熊取町には、たくさんの造園業者があり、大阪で4つしかない切り花と鉢物の市場もあります。  私は熊取町の造園業を営む家に生まれ、府立園芸高校を卒業しました。  その後、植木の仕事を始めましたが、さらに勉強をするため九州の大学へ進学しました。卒業後は、熊本県で京都の庭づくりなどを学び、竹垣を手作りしたことなどが印象に残っています。  造園業者は、花については詳しくないという現実があります。そこで私は、花のことも、樹木のことも学び、園芸や造園など『全てができる職人』を目指してやってきました。  熊取駅への想い  熊取町は、地域の魅力づくりプロジェクトを立ち上げ、小学校の子どもたちと花を植えるなどの活動をしてきました。  熊取駅では、決められた一帯の部分を造園業者がボランティアで植栽の管理をしています(次頁を参照)。庭造りの仕事を受けたらそれで終わりではなく、維持管理を通じて、魅力ある駅を造園業者が力を合わせてつくっています。  その中で私は、熊取駅東側のシマトネリコや、西側の桜の植樹にも関わらせていただきました。駅の緑が皆さんの安らぎになるように、これからも力添えができたらと思います。  永楽ダム周辺への想い  私は、自然再生士でもあるので、先日、講習会で東京の国営昭和記念公園にも行ってきました。東京のこの公園では、人工的に流した川やコケ、植物で昔の川のような環境を作っています。  東京では、数億円もの費用をかけて緑道を造るという素晴らしい取り組みをしていますが、熊取町には、作らなくても永楽ダム周辺に自然がたくさんあります。永楽ダムの上には、せせらぎがあり、川が流れているため、ここを手入れすることで、人を呼べるような自然になると考えています。  そこで、熊取造園事業協同組合さん、花卉販売協会さん、グリーンパーク熊取さんの3者でNPO法人 永楽桜保存会を立ち上げました。これからどんな活動ができるかは未知数ですが、自然で人を呼べる里山づくりをしていきたいと思っています。  阪上良雄さん  株式会社ラウンド・スケープ・グリーン 代表取締役/NPO法人 永楽桜保存会 代表理事/一級造園施工管理技士・自然再生士  毎日放送 せやねん「スマイル工務店」のコーナーに出演中  阪上さん経営のショップ 「ストックファーム」 五門西3丁目18-17 電話120・7・11087 インスタグラム ○鹿児島から、ようこそ熊取町  JR熊取駅のシンボルツリー「シマトネリコ」  令和3年に、熊取町町制70周年記念の記念樹として全長約12メートルの「シマトネリコ」をJR熊取町駅前ロータリーに植樹をしました。  遠くからでもその存在をアピールできる高さがあり、枝ぶりがよく夏の日光を遮り駅前の温度上昇を抑制する効果などが期待されています。 ・鹿児島県鹿屋市で育った樹木を選定しました。樹齢は50〜60年と言われています。同じ場所で一緒に育った兄弟の樹木が、東京駅の八重洲口に植樹されています。 ・シマトネリコは熟練した職人7〜8人によって、根から掘り出されました。本紙面で紹介している 阪上 良雄 さんが、樹木の選定から植樹まで携わってくれています。 ・樹木は、大型トレーラーで丁寧に鹿児島県から熊取町に運ばれ、大規模な作業となるため夜間に植樹されました。植樹を祝って、後日ライトアップし、点灯式を行いました。 ・シマトネリコの植樹にあたり、大変だったのが夏の暑さ対策です。対策として植樹する場所に雨水をためる層を作り、根まわりの温度を下げる工夫が施されています。  普段の水やりに関しても自動散水機を設置し、万が一の水切れ対策も万全に整えました。  こうして、熊取町に新しい名所が根付きました。 ※シマトネリコが熊取町に運ばれる様子【動画提供:ラウンド・スケープさん】 ●四季を感じられる熊取駅に!  熊取駅の夢広場は、植栽帯エリアごとに、町内造園事業者や花卉販売事業者の10者のボランティアが作庭とその後の手入れまでエリアごとに担当されています。担当エリアの植栽を維持管理する取り組みは、大阪府でも珍しい取り組みです。安らぎのある緑を感じられる駅前を創出するため、ご協力  いただいている10者を紹介します。一度、足を止めて熊取駅の緑や四季の花を楽しんでみませんか。 @甲田造園  昔からの造園業が盛んな町“熊取町”を駅前緑化プロジェクトを通して住民の皆さまに少しでも知っていただけると幸いです。 A植源造園 「ふれあい」と「つながり」をキーワードに地域の情報提供の場と、樹々や花々に四季を感じる憩いの場になればと思います。 B株式会社ラウンドスケープグリーン  熊取町の顔である駅前を花いっぱいに出来たらとの思いで緑化プロジェクトを立ち上げました。今後も熊取町が植木の町と思ってもらえるように頑張ります。 C北川造園  花や緑で賑わうプロジェクトに参加できてとても光栄です。春、新緑から始まる四季折々の移り変わりをお楽しみください。 D株式会社 熊取緑化園  町の玄関口である駅前に緑を植えさせていただくことに感謝しております。新緑豊かなまちづくりに微力ながら協力させていただきます。 E植福造園  緑化プロジェクトに参加できて造園業者として光栄に思っています。緑化は大変大事なのでこれからも参加したいと思ってます。 F株式会社 植正  日本人に親しみのある松の木などを植樹しました。駅を利用する皆さまに楽しんでいただきたいです。 G株式会社 植音  住民の皆さまにもっと緑に対する関心を持っていただけるよう、いろいろな緑化を駅前に作庭しているので、一度じっくり見てください。 H金田花店  通勤・通学で駅をご利用される方をはじめ町民の皆さまに癒しを感じていただき、更に町の活性化の一助となれば幸いです。 I鶴泉緑化園  「手入れが大変」と植木離れの中、簡単な手入れをコンセプトにした植木スペースを造っています。一度覗いてみてください。 以上で2,3,4,5ページは終わりです。