広報くまとり 令和7年6月号第889号 2,3,4,5ページ ★特集 最近『えっ?』が増えてない? 最近、家族や友達との会話がちょっと噛み合わなかったり、テレビの音が大きいと言われたりしていませんか? もしかしたら、それは『加齢性難聴』かもしれません。 年齢を重ねると、体のあち こちに変化が現れるものですが『耳』も例外ではありません。 今回は『耳の健康』について特集します。 ●加齢性難聴って? 年齢とともに耳が聞こえにくくなる『加齢性難聴』。  一般的には、50 歳を超えると特に高い音が聞こえにくくなり、75歳以上の約7割が難聴になります。 その中でも難聴を自覚している人は約3割と言われています。 ●特徴 ○危機察知能力が低下する 車が近づいてくる音や周りの音が聞こえづらく、接触事故等の危険な目にあってしまった。 ○コミュニケーションがうまくいかない 話し声が聞き取りにくく人との会話が億劫になり、家にこもるようになってしまった。 ○認知機能が低下する 難聴を放っておくことで、脳への刺激などが低下し、忘れっぽくなってしまった。 ●こんなサインを見逃していませんか? 聞こえの簡単チェック!チェックが1つでもあれば要注意かも! 1.後ろから呼ばれても気付かない 2.会話中に聞き返すことがよくある 3.テレビの音が大きいと言われる 4.耳鳴りがする 5.電子レンジの『チン』という音や玄関のチャイムが聞こえにくい ■インタビュー □違和感があればすぐに受診を(耳鼻咽喉科 のざき医院 野ア 隆平先生) 難聴になる原因は、耳垢の詰まり・中耳炎・メニエール病などいくつかありますが、加齢性難聴は耳の中にある細胞や神経が加齢により機能低下することで起こります。 年をとると耳が聞こえづらくなるものだと思いがちですが、耳垢の詰まり・中耳炎・メニエール病などは治療すれば改善が見込まれるため、聞こえづらい原因を詳しく探るためにも早期の受診をおすすめします。 聞こえづらさは放置せず、すぐに対処を 聞こえづらさは放っておくと、「佐藤さん」「加藤さん」のような言葉の聞き分けもしづらくなり、周りとのコミュニケーションが取れなくなったり、認知症になったりと弊害も出てきます。 また、耳の違和感は、周りから気付かれにくいため受診が遅れることもあります。『もっと早く受診していればよかった』と後悔しないためにも、原因があれば取り除き、加齢性難聴であれば補聴器を使うなど対処していくことが必要です。 補聴器と似た集音器という装置もありますが、集音器は拾ったすべての音を大きくするもので、雑音もその分大きくなります。 補聴器の場合は、『テレビやラジオをよく聴く』『大勢がいる状況で会話する』など普段の皆さんの状況に合わせて選び、調整するものです。 補聴器を購入する際は、自分で判断せず、治療すれば改善する難聴でないか、補聴器が本当に必要かを調べるためにもお近くの耳鼻咽喉科を受診してください。 耳鼻咽喉科 のざき医院 野ア 隆平先生 大学病院ならびに関連病院の公立病院に勤務し、平成18年7月に耳鼻咽喉科・アレルギー科・気管食道内科を専門に住み慣れた熊取町にて開院。 □聴力を保つことは『自分らしさ』を保つこと(言語聴覚士 橋 美香さん) 皆さんはささやき声でおしゃべりできますか? 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、80歳になっても補聴器をつけて30デシベル(ささやき声程度)の音が聞こえることをめざす『聞こえ はちまるさんまる運動』を推進しています。  耳の聞こえが悪くなると、脳に刺激が届きにくくなり、その状態が長く続くと『音は聞こえているのに意味を忘れてしまっている』ということが起こります。医学的には認知症の要因のうち4割は防げるものであり、その中でも上位にあたるのが難 聴であると言われていますので、少しでも聞こえづらいなと感じたら、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。 悪循環になる前に補聴器という選択肢  会話中に何度も聞き返したり、大きな声で話してもらったりすることで相手に悪いと感じ、おしゃべり好きだったのにあまり話さなくなったり、家に閉じこもったり『うつ病』になったりすることもあります。 そうなってしまう前に、補聴器を使って『自分らしく』生活するという選択肢を視野に入れてほしいと思います。 補聴器は、つければすぐ聞こえがよくなるものではありません。 難聴が進んでいる方ほど、最初のうちは音がうるさく感じてしまうのですが、それは脳が休んでいたサイン。 音が聞こえる状態を脳が思い出すためにはリハビリが必要なので、補聴器の調整に何度も通うことになります。 『年のせい』と思わず、早めに行動することが大切です。 言語聴覚士 橋 美香さん 病院勤務で言語療法士として経験を積んだ後、言語聴覚士資格を取得、保健所や保健センターなど地域での活動も開始。 2024 年6 月からは、地域で共に働く他職種と共に学ぶ場『STサロン』を主宰。 ■自分に合った補聴器の選び方 補聴器には大きく分けると3タイプあります なんとなく選ぶのではなく、販売店で相談しながら自分にあったものを見つけましょう。 ●耳あな型 耳の中に収まる小型の補聴器。小さいため目立ちにくい。 ●耳かけ型 耳の後ろにかけるタイプの補聴器。機能が多く音質も良い。 ●ポケット型 コードがついたタイプの補聴器。大きいため操作がしやすい。 聞こえ具合やつけ心地を試して納得してから購入を! 補聴器購入の3ステップ 1.耳鼻咽喉科を受診 医師に補聴器が有効か診断してもらいます。 2.補聴器販売店へ 聴力検査やライフスタイルの相談をして補聴器をいくつか選定してもらいます。 3.補聴器のレンタル・購入 販売店によっては数週間程度、補聴器を貸し出してくれるところもあります。 脳が難聴の状態に慣れてしまうと、補聴器からの音を『うるさい』と感じ装着を諦めてしまいがちです。 最初は小さな音量から始め、徐々に音量を上げながら常につけていられるようトレーニングすることが大切です。 目が悪くなったらメガネをかけるように、耳も聞こえづらいなと感じたらぜひ補聴器を検討して、ストレスのない生活を送りましょう! ■補聴器購入助成 65 歳以上の方を対象に『補聴器購入助成 上限:25,000 円』を実施しています。 補聴器販売店で見積書をもらったら、購入前に申請してください。 注釈条件など詳しくは、町ホームページをご覧ください。 問い合わせ 健康・いきいき高齢課 電話452・6285 以上で2,3,4,5ページは終わりです。