○子どもの権利に関する条例

令和4年3月30日

条例第6号

目次

前文

第1章 目的及び対象(第1条・第2条)

第2章 子どもの権利(第3条)

第3章 子どもと子どものまわりの様々な立場の者との対話(第4条)

第4章 子どものまわりの様々な立場の者の役割と責務(第5条―第7条)

第5章 町の責務(第8条―第10条)

第6章 広報及び啓発(第11条・第12条)

第7章 雑則(第13条)

附則

子どもは、生まれながらにして、一人の人間として尊重されるかけがえのない存在であり、その育ちは人々の共通の願いです。

そして、自分の思いや望みを表現し、自分と同様に保護者をはじめ他者を大切にし、周りの様々な者との関わりを通して、無限の可能性をもちながら成長していきます。

一方で大人は、子どもが伸び伸びと生きていくことができるよう、地域社会全体で子どもを見守り、その子どもに応じた関わりで支えていく役割を担います。

熊取町では、町民をはじめとする人々との協働を大切にし、お互いの顔が見える距離で、子どもが健やかに育つことができるまちづくりに取り組んでいます。

また、2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の目標である「誰一人取り残さない持続可能でよりよい社会の実現」の考え方も踏まえ、子どもたちが「熊取町で育ってよかった」と誇りをもてるまちにしたいと考えます。

これらを踏まえ、子どもたちから多くの貴重な思いを聴き、その気持ちを受け止め、子どもの最善の利益をみんなで考えながら、この条例づくりに取り組みました。

そして、熊取町は「児童の権利に関する条約」の精神に則り、子どもたち一人一人の権利が守られ、人々の愛情と緑豊かな自然の中で、夢と希望と豊かな心をもって成長することができるまちの実現を決意し、この条例を制定します。

第1章 目的及び対象

(目的)

第1条 この条例は、子育てのかたちや地域のかたちなど、子どもを取り巻く環境が多様化し日々変化するなか、子どもの権利が普遍的に守られ、多様な子どもの育ちや暮らしを認め合い、支え合う社会が求められている中で、子どもの権利や、保護者をはじめ地域社会、行政といった様々な立場の者が子どもの育ちを支えるための役割を定めることを目的とします。

(定義)

第2条 この条例における用語の意義は、次のとおりとします。

(1) 子ども 18歳未満の者及び18歳未満の者と等しくこの条例の対象とすることが適当と認められる者です。

(2) 町民 本町に居住、通勤又は通学する者及び町内で事業又は地域活動を行う者です。

(3) 保護者 親又は親に代わって子どもを養育する者です。

(4) 子ども施設 学校教育法(昭和22年法律第26号)、児童福祉法(昭和22年法律第164号)及び社会教育法(昭和24年法律第207号)で定める施設その他子ども・子育て支援に関する施設を運営する法人その他の団体並びに当該施設の業務に従事している者です。

第2章 子どもの権利

(子どもの権利)

第3条 子どもは、生まれながらに、何か責任を果たすことと引換えにすることなく、児童の権利に関する条約に基づく権利が保障されています。

2 子どもは、自身の権利が大切にされるとともに、他者の権利を大切にする必要があります。

3 代表的な4つの子どもの権利を、次のとおり規定します。

(1) 生きる権利

 命が守られ、尊重されます。

 愛情をもって心身ともに健やかに育てられます。

(2) 育つ権利

 学び、遊び、休息できます。

 安心できる居場所があります。

 必要な支援や助言を受けられます。

(3) 守られる権利

 虐待やいじめなどの権利侵害から守られます。

 プライバシーが守られます。

(4) 参加する権利

 自分の意見や考えを自由に表明できます。

 仲間をつくり、集まり、活動できます。

第3章 子どもと子どものまわりの様々な立場の者との対話

(対話)

第4条 子どもと子どものまわりの様々な立場の者は、対話に努め、多様な子どもの育ちを支えます。

第4章 子どものまわりの様々な立場の者の役割と責務

(町民をはじめとする様々な立場の者の役割)

第5条 町民をはじめとする様々な立場の者は、子どもが安全・安心に暮らし、成長することができる環境づくりのため、次の役割を果たすよう努めます。

(1) 互いに協力し、一人一人の子どもに応じた関わりをもちます。

(2) 保護者が、保護者としての子どもへの関わりと社会の一員としての役割を両立することができるよう協力します。

(3) 子育てに関する経験や知識等が必要な者に対し、思いや悩みを受け止め、相談することができる環境をつくります。

(4) 子どもを見守り、変化に気づいたときや、虐待やいじめなどの権利侵害が疑われるときは、相談につなげます。

(保護者の責務)

第6条 保護者は、子どもが安全で安心して生活することができるように責任をもつ立場にある一方で、支援が必要な場合は、子どもを取り巻く様々な立場の者に、子育てに関する思いや悩みを相談でき、必要な協力を求めることができるという認識のもとに、次のことを行います。

(1) 子どもに愛情をもって向き合い、その子どもに応じた養育を行い成長を促します。

(2) 子どもが必要な教育を受けられるようにします。

(3) 子どもに基本的な生活習慣や社会の規範が身につくように行動します。

(子ども施設の責務)

第7条 子ども施設は、子どもの健やかな成長に重要な役割を果たすため、次のとおり子どもの育ちを支えます。

(1) 子どもが他者との関わりや集団生活などを通じて、必要な社会性や自ら学び考える力などが身につくように関わります。

(2) 子どもがその子どもに応じた学びや成長ができるように関わります。

(3) 子どもに関する課題に早期に気付くように努め、気付いた場合は、必要な支援を行います。

第5章 町の責務

(相談支援体制の確保と子育て支援施策の実行)

第8条 町は、子どものまわりの様々な立場の者がそれぞれの子どもの成長の段階に応じた問題や育みに適切に対応し、また、子どもがいつでも相談することができるように、相談支援体制を確保し、これを維持します。

2 町は、「熊取町子ども・子育て支援計画」に基づく施策を実行します。

(虐待やいじめなどの権利侵害への対応)

第9条 町は、誰でも相談することができる窓口を確保し、これを維持します。

2 町は、関係機関と連携し、予防及び早期発見に取り組みます。

3 町は、権利侵害を受けた子どもに対して、迅速かつ適切な救済及び当該子どもの心身の回復に取り組みます。

(情報の取扱い)

第10条 町は、あらゆる相談等の情報を適切に管理及び運用します。

第6章 広報及び啓発

(広報及び啓発)

第11条 町は、この条例の実効性・実行性の向上のために、必要な広報及び啓発をします。

(子どもの権利月間)

第12条 子どもの権利についての関心及び理解を深めるため、児童の権利に関する条約が国連総会で採択された11月を熊取町子どもの権利月間とします。

第7章 雑則

(委任)

第13条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、町長が別に定めます。

この条例は、令和4年4月1日から施行します。

子どもの権利に関する条例

令和4年3月30日 条例第6号

(令和4年4月1日施行)