すまいるズ 煉瓦館の建物について
この建物は昭和初期に建設された綿布工場を保存再生したもので、レンガ壁は建設当時のものをそのまま活かし、のこぎり屋根を再現するなど工場の雰囲気を残しながら、近代化遺産として後世へ継承するべく、すまいるズ 煉瓦館として新しく生まれ変わったものです。
元々綿布工場としては、明治後期に現在の公園部分に旧工場(紺屋工場)が設立され、その後昭和初期に川を挟んで現在残っている新工場(五門工場)が増設されたもので、敷地面積約20,000平方メートルの広大な土地に、工場のほか、宿舎や食堂などが併設されていました。
明治期に建てられた旧工場は取り壊されましたが、すまいるズ 煉瓦館となっている新工場は、木造の事務所棟、煉瓦造の倉庫棟(現染め工房からレストラン部分)、汽かん室、東側と西側に分かれる本体工場部分から構成された大工場群を形成していました。
これら建物の内、旧汽かん室、旧事務所棟、旧受電室の3棟は町指定文化財となっています。
操業当時の工場
下図は工場操業時の平面図で、工場本体部分は大きく5つに区画されています。
現在のくまとりスクエア全体は広大な第一織機室、コットンホール・講義室になっているところが準備室、サイジング室・緯巻室、また、体験ホール、交流ホール部分は仕上室、第二織機室となっていました。
また、各部屋内には約4メートル間隔で柱が建っており、のこぎり屋根を支えていました。

旧汽かん室
事務室・玄関ロビーのある建物は、元々工場の汽かん(ボイラ)室となっており、現在、中庭に展示しているランカシャボイラが設置されていました。
煉瓦造(オランダ積み)平屋建で、屋根は切妻造、桟瓦葺とし、中央部分に煙出しと採光・換気を兼ねた切妻造の越屋根が付いています。
なお、外壁(煉瓦)は当時のままですが、柱・屋根部分は新しく建替えています。

旧事務所棟
コミュニティ支援室のある白壁の建物は、工場の事務所として使用されていました。
木造平屋建、寄棟造、桟瓦葺で、外壁は桧見板張りの大壁形式とし、上部両端を円形に繰った弧形アーチ上の窓が特徴的です。
小屋組は、寄棟造の洋小屋で、梁行には桁行一間ごとに真束小屋組を組み、妻側に陸梁、方杖、吊束を使ったもので、支援室2の方はこれらトラス構造が見えるように再現しています。
なお、この建物は一度全て解体、調査を行ったうえで、当時の部材も使いながら創建当時に近い形に復元しています。

旧受電室
住吉川の北側に独立して建っている建物は、工場の受電室(電気室、変電室とも呼ばれる)であったもので、旧工場(紺屋工場)に併設されていました。煉瓦造(オランダ積み)平屋建で、屋根は切妻造、桟瓦葺の建物で、この煉瓦館で一番古いものです。
現在は入口部分でモニュメント的存在として、来館者を歓迎しています。なお、屋根は新しく葺き替えています。

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すまいるズ 煉瓦館
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