大久保

大久保やりまわし

制作 大正七年(大正十年岸和田市宮本町より購入)
大工 小川喜兵衛
彫刻師 上間庄平・伊藤松吉

熊取では唯一の黒足袋黒バッチで、肩から袖口に掛けての赤筋・子持ち引きの火消刺子風法被の装束とあいまって黒と赤の対比が美しい。
大正七年制作の宮本町先々代地車。正面土呂幕に採用されている題材「薄田隼人正兼相徳川本陣討入り」は、宮本町二代目地車(堺市原田)から始まり、三代目(大久保)四代目(堺市檜尾)五代目(現在の宮本町)の今日まで踏襲されている。
彫物は通常刀・槍などは別部品で取り付けされるのだが、上間庄平作の当地車では彫り抜いて表現されているのが特徴。人物の見得の切り方など、現代の地車とは一味違った雰囲気がある。
昭和六十一年に植山義正棟梁の手による大修理。この際左右松良を新調している。
中家に残る古文書には、文化二年新調と記載。その後安政二年に岸和田市沼町に売却。明治三十三年まで曳行された。