野田

野田やりまわし

制作 明治二十二年(大正十一年岸和田市堺町より購入)
大工 大崎平兵衛
彫刻師 安田卯ノ丸・相野徳兵衛・保田卯之松

熊取では唯一の白地法被。また、纏頭には購入時の苦労話(購入資金調達の為、大事な牛を売却した)より、牛の角を模した物となっている。
岸和田型地車の白眉と称される超一級品の地車で、彫刻には和泉彫の安田卯ノ丸・保田卯ノ松・寺田夘ノ助、相藤彫徳の相野徳兵衛らが、それぞれの得意とする彫物を担当している。各場面の構図などは大正・昭和、そして平成に至る彫刻師に今尚手本とされている。
正面小連子の「楠木正成、後醍醐天皇拝謁の場」の奥板の襖が開閉する細工や、右土呂幕「楠木正季勇戦」の中央部分にある陣幕の隙間から戦況を覗き込む武者など彫刻師の遊び心も随所に見られる。また、合戦物(荒事)以外にも前腰廻り縁葛に「唐子遊び」、高欄合に「東海道五十三次」など心和ませる題材もあり見る者を飽きさせない。