小谷

小谷やりまわし

制作 平成二十六年新調
大工 植山工務店
彫刻師 岸田一門

熊取町の東端、坂の上ある小谷は昔から脚力が自慢の若衆が揃う。
纏は三方正面に梅鉢をあしらった纏頭である。
地車は平成二十六年新調で、その際に書家・永山玳潤による小谷の意匠が地車の随所に施されている。
切妻屋根に三手先組物の端正な姿見は先代地車を踏襲。後屋根総割付の扇垂木の細工も自慢の一つ。
彫物は岸田恭司とその愛弟子の片山晃、高濱輝夫らが鑿をふるった。
見送りは義経記より「衣川ノ合戦」で、見送り彫題としては当区の地車が唯一である。
他にも地元縁起の題材を多数取り入れ、枡合正面に「桓武天皇熊取野遊猟」、後面に小谷縁起「辻之井」、土呂幕正面には根来戦記千石堀城の合戦より、小谷所縁の僧兵で弓の名手といわれた「大谷左大仁の奮戦」が岸田師により躍動感あふれる、見事な構図で彫られている。