小垣内

小垣内やりまわし

制作 平成二十二年新調
大工 井上英明
彫刻師 木下賢治

扇は「寿栄(すえ)広がり」を意味する小垣内の町紋。纏・法被・地車の至る所に配されている。
平成二十二年に産声をあげた地車で、大工は新鋭の井上工務店棟梁の井上英明。小垣内地車は井上棟梁にとって三台目の新調地車(岸和田市畑町・同市中北町)。先述の寿栄広がりの思いを込めて主屋根前後面には通常七本で配される垂木を八本に割付るといった細工が施されている。また、高欄ホコ木・竹の節・命棒などに希少価値の高い黒柿材を使用。
一方彫刻は木下健司と兄弟弟子の河合申仁・堀健二ら木下彫刻工芸の看板彫師らによる豪華な作品である。正面土呂幕「熊谷直実 平敦盛を討つ」は、従来の地車彫刻の定番題材「熊谷直実 敦盛呼び戻す」の場面より後の場面であり珍しい図柄。また土呂幕右面「奥州衣川乃合戦」で、左側の館の内部に「白龍」に姿を変えた源義経が障子越しに見えるという手の込んだ造りとなっている。